- 受診7日後(2016年1月29日)Mail -

 竹内先生、こんばんは。本当にありがとうございました。もう、今までの痛みが嘘のようです。親知らずで困っている方がいれば、先生のことを話そうと思います。

(図10)2回目受診(2016年1月27日)。加療後5日経過。撮影倍率から判断しても、一気にこれだけ粘膜上皮が形成され治癒が促進された。“嘘のように内耳部、側頭部及び局所の疼痛から解放された”

 
    - 受診翌日(2016年1月23日)の電話 -

 激痛は大幅に軽減(VAS:2/10)した。開口障害はないが右耳の深部の疼痛は残る。セルシン、ボルタレン服用。


    - 受診2日後(2016年1月24日)のMail -

 抗生剤と消炎剤は、8時間毎にきちんと飲んでいます。痛み止めは昨日のお昼過ぎと夜8時頃に飲みました。安定剤は寝る前に1錠飲みました。今日は、耳の奥の痛みは残っていますが、昨日の痛みを7とすると5ぐらいでしょうか?また何か変わった事があれば、連絡させていただきます。ありがとうございます。


     -受診4日後(2016年1月26日)のMail -

 昨夜は痛み止めを飲みたかったのですが、我慢して一晩過ごしました。今日は耳の奥の痛みがまた少し和らいでいるように感じます。先程昼食をとりましたが、殆どしみることもありませんでした。一応反対側で噛むようにしていました。逆に反対側の方が気になりました。痛みは引いていると思うのですが、前の方の歯が浮いたような感じがまだ残っています。仕事をしていると忘れる事が出来るぐらいなので、大丈夫だと思います。

                          - 受診前に送られてきたMail(一部校正) -
竹内歯科クリニック様
今までの、治療の状況を説明させていただきます。

・2015年12月中旬;親知らずが原因の痛みがあるので、近所の歯科医に抜歯のため口腔外科のある下記の病院を紹介されました。

・2015年12月24日;大阪●●●病院(総合)に入院。

・2015年12月25日;口腔外科にて下の親知らず2本を抜歯(全身麻酔下)。右の親知らずを抜くときにかなり骨を削ったと言われました。

・2015年12月28日;退院。
処方された薬:セレコックス錠100mg 朝夕1日2回 7日分、レボフロキサシン錠500mg朝食後1日1回5日分、セフカペンピボキシル塩酸塩錠100mg朝昼夕食後1日3回3日分、ロキソプロフェン錠60mg10回分。

・2016年1月4日;同病院で抜糸。
処方された薬:セレコックス錠200mg朝夕1日2回 7日分、レボフロキサシン錠500mg朝食後1日1回5日分、カロナール錠300毎食後と寝る前1日4錠7日分。腫れ痛みともひどかったですが、こんなものだと思っていました。前々日に血尿が出たので、痛み止めがカロナールに変わりました。

・2016年1月13日;診察。
まだ痛みがひどく、右側が耳の奥から頭までズキズキしており、顎も痛い事を伝えると、何も言わず、いきなり両方とも薬を塗ったガーゼを詰められました。食べる時に痛まないので少しましになりました。この頃やっと右の首に出来た内出血の跡が消えました。
処方された薬:レボフロキサシン錠500mg朝食後1日1回5日分、カロナール錠300毎食後と寝る前1日4錠7日分。

・2016年1月18日;診察・ガーゼの交換。
左はあまり痛くなくなったので、右だけガーゼの交換となりました。こちらから、ドライソケットになっているのか聞くと、その疑いがあると言われましたが、見えないのではっきりとは断言できないと言われました。ガーゼの処置で治らなければ、傷をもう一度つけるというような事も言われました。血尿が出てから怖くてあまり消炎剤を飲まないようにしていたので、薬は余っているので処方された薬はありません。

・2016年1月20日;微熱が出て、耳の中が痛いので我慢できず急遽受診。今までと同じように、いつかは治りますと言われ、ガーゼの交換と痛み止めの処方で終わりました。
処方された薬:レボフロキサシン錠500mg朝食後1日1回7日分、カロナール錠300 毎食後1日3錠10日分。

・2016年1月21日;少しでもこの痛みから解放されるならと、竹内先生のところをネットで調べ連絡させて頂きました。明日、どうぞ宜しくお願いいたします(Escapeを決意)。

(図7)初診時(2016年1月22日)。Volume Rendaring像から3次元でSocketTおよび周辺の顎骨の状態を診断。舌側の骨欠損の大きさが確認できる

(図8)初診時(2016年1月22日)。本症例では1ヶ月間でこれだけ多量の薬剤投与を受けていた。当Clinicでは、Resetしてすべての薬剤を中止する。CRP値が正常なら、基本的には投薬することは少ない。Diathermyを中心とした物理療法を中心に加療を進める


著書“Diathermy”の著作権侵害となるため、禁無断転載・複写。


REFERECES

1)竹内義和:Diathermy-最先端テクノロジーが歯科治療を変える-.医学情報社,東京,2009

2)竹内義和:ドライソケットの最先端治療法-Diathermyを求めてベトナムから.デンタルダイヤモンド,138-144,2011.

(図11)INRASITE GEL(ENGLAND)・APPLIPACK。二次治癒ハイドロゲル創傷被覆・保護剤

(図9)初診時(2016年1月22日)。Socket内を優しく洗い流し、消毒剤は一切使用せず、当ClinicのDiathermyを使用したドライソケット(Dry Socket・Alveolar Osteitis)専門治療で創面を保護する。傷は優しく扱うのが原則である。傷口に種々の消毒薬を付けた異物を入れてはいけない。異物から解放された創面は一気に治癒に向かう

(図6)初診時(2016年1月22日)。舌側の術侵襲の出血が顎下隙を通過して頚部に皮下出血班として出たようである

(図5)初診時(2016年1月22日)。歯槽骨舌側の骨欠損が大きい。知歯の埋伏状態によるものか、術式によるものか術前Dataが無いため診断できない

(図4)初診時(2016年1月22日)。抜歯後1ヶ月経過。下歯槽管に及ぶ大きな骨欠損が診られが、臨床症状から下歯槽神経の損傷は認められない

(図2)初診時(2016年1月22日)。ガーゼが粘膜に触れて痛むため、患者は口内炎治療薬(森下仁丹㈱)を局部塗布して耐えていた。主成分のジブカイン塩酸塩の局麻作用だけで、原因療法にはならない

(図1)初診時(2016年1月22日)、51歳、女性。右下8抜歯後のDry Socket治療に強引にガーゼを挿入され、激痛が約1ヶ月継続。体重減少2kg、睡眠不足により体力減少

  

(図3)初診時(2016年1月22日)。 これだけ長くて膿が付着したガーゼが傷口に押し込まれていた

               ■左右智歯同日抜歯(全身麻酔下)・ガーゼタンポン 新症例







●患者:51歳、女性
●医療面接:子宮外妊娠手術(20年前)、脂質異常症(TCH:314mg/dl、LDL:220mg/dl),喫煙(20本/日),その他特記事項なし。
診断および治療経過:
 CRP値、感染症および一般検血は時間の都合上検査できなかったので、直近の検診結果を持参して頂いて全身状態の把握を行った。全身麻酔下での処置を受けているので、術前検査は受けているはず。問題点は無かったようである。


 基幹総合病院口腔外科で行われた入院全身麻酔下での同日両側抜歯と術後併発したDry Socketにまたもや、ガーゼタンポンが挿入されていた。遠隔地のため、Mailと携帯を活用した遠隔治療で、2回の受診で1ヶ月に及ぶ激痛を消滅することができた。

・2016年1月27日;2回目診察。右顎下リンパ節炎は消退し、VAS:2/10。当ClinicのDry Socket処置(物理療法)のみ施行。開口41.0mmで“嘘みたいに痛みが取れた!!”と喜んでくれた

●筆者が愛用するINRASITE GELについては下記のような
 特徴がある。

・形状及び構造
 本品は、水中に拡散するが水には不溶性のポリマーから成
 るコロイドの一種であるハイドロゲルで、ジェル状である。本
 品は、高い吸水能を有するハイドロゲルで、カルボキシメチ
 ルセルロースナトリウム、プロピレングリコール、精製水より
 成る。

・機能及び動作原理
 本品は、創傷からの過剰な滲出液を吸収し、かつ、適切な
 湿潤環境を維持することによって創傷の治癒を促進し、さら
 に、創傷の壊死組織の除去及び清浄化を行う作用を有す
 る。

・使用法
 詳細は著書および筆者の論文を参考にして頂きたい。

●2回の来院と遠隔治療で、1ヶ月に及ぶ激痛から解放することができた。
●情報過多の時代なので、訪れる患者は全員“Dry Socket”と自身で診断して来院する(100%的中)。今まで筆者は患者の誤診を経   験した事が無く感心させられる。
●口腔内視鏡(同軸照明Camera)やMicroscopeを応用すれば、Socket底部まで観察できるため、Dry Socketは的確に診断ができる。
●同日知歯の両側抜歯は慎むべきである。術後咀嚼ができずに、前歯部では咀嚼効率が激減し、QOL低下が著しくなる。患者の事を考 えれば、できるはずが無い医療行為である。



                           抜歯窩にはガーゼは絶対禁忌!
理由
1:タンポンガーゼでかえって傷の入り口をふたしてしまって、中に膿やプラークが停滞する。

2:ガーゼそのものが感染源(化膿の素)になる。

3:頻繁に入れ替える必要があり、患者にとって、非常に苦痛になり(大手病院では強引に押し込むことが多い)、ガーゼを入れ替える
  たびに新生肉芽組織をはがしてしまうので逆に傷の治りも悪くなる。